<ウイルス性の急性腸炎>
急性腸炎には、まれにウイルスが原因で起こるものもあります。最も多いのが「ロタウイルス」の感染による急性腸炎です。2歳以下の子供に多く見られますが、輸入感染症として見られる場合もあります。(輸入感染症とは主に熱帯地方へ海外旅行に出かけたときに旅行先で感染力の強い細菌に感染して急性腸炎をおこすものをいいます。)また、鼻かぜなどを引き起こす「アデノウイルス」が急性腸炎をおこす場合もあります。
これらのウイルスによる急性腸炎では、下痢や嘔吐、発熱などのほか、咳や鼻汁などかぜのような症状があらわれます。症状だけでは、細菌性のものかウイルス性のものか区別できませんがいずれにしても安静にして水分を補って免疫力を高めれば1週間以内におさまります。
<自宅での対応>
急性胃腸炎による下痢や嘔吐などは、有害なものを排除しようとする、体が本来持っている防衛反応です。そのため、むやみにこれらの症状を止めようとしないほうが良いのです。特に下痢止め薬の服用は症状を長引かせることがあるので必要最小限にとどめてください。
ただし、ビフィズス菌などの乳酸菌を主成分とした整腸剤(ビオフェルミンRなど)は病原菌を排除する働きがあり、症状を改善させるのに役立ちます。
なお、腹痛や下痢がおさまらないうちに、重湯やおかゆなどの食事を始めるべきではありません。症状がなくなるまでは基本的には胃腸に負担のかからない電解質液だけを補給したほうが回復は早いのです。
そこで、自宅で電解質液をつくるかあるいは、市販のスポーツドリンク剤(ポカリスエットなど)を摂取するようにして下さい。(スポーツドリンクが苦手な方は人肌程度の番茶や薄い紅茶などでもかまいません。)
急性腸炎では何よりも脱水症状を防ぐことが肝要です。喉の渇きが治まり、尿がきちんと出れば、脱水はほぼコントロールされています。それまでは水分の補給を充分に行うようにしてください。
<電解質液の作り方>
砂糖:40g
しお:5g
100%果汁:150〜200ml
+水:合計で1リットル
<自宅での対応>
症状が回復し下痢や嘔吐も止まったらおかゆなどからはじめて軟常食、さらに様子をみて日常食へと段階的にうつるようにして下さい。急性胃腸炎の食事で注意したいのは、あまりにも慎重になりすぎて低栄養状態を長引かさないようにすることです。食事の回数は、1日5〜6回ぐらいにして、1回当たりの食事量が少なくてすむようにすることで消化管への負担を少なくして下さい。内容的には特に熱いもの、冷たいものなど胃腸を刺激するものは避けて消化されやすく高栄養の食事を心がけましょう。
調理法については、煮る、蒸す、焼くといった加熱処理で材料をやわらかくすることが大切です。油脂類はせっかく回復しつつあるときに再び下痢を引き起こす原因となるおそれもありますから、あまり使わないようにして、使用する時も少量のバターやマーガリンにとどめておきましょう。栄養をつけるという点からいいますと、高栄養価の代表格である牛乳はいいのですが、ゆっくり飲むとか、温めるとかの配慮が必要です。(消化のよい食品と調理法については一覧表がありますので希望される方は受付でおっしゃってください。)
<りんごとにんじん療法>
下痢が続くときに絶食をしなくても、りんごのすりおろしや、にんじんの煮つぶしたスープを飲んで、下痢が止まることがあります。
りんごにはペクチンという物質が含まれています。これが海綿のような働きをして便が硬いときにはペクチンが吸っていた水分を吐き出して便を軟らかくし、便が軟らかいときには糞便中の水分を吸い上げ、形のある状態にしてくれます。つまり、便秘にも下痢にもよい食品なのです。この特性を生かして、すりおろしたりんごを食べるわけです。これでも止まらないときはドロドロになるぐらい煮こんだにんじんに、ごく薄い塩味をつけて飲みます。このスープで下痢が止まったという例もあります。

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